看護師仕事の仕事12!臨床業務

「看護師が働く場所は病院だけだよね?」

「看護師の仕事は実際にどんなことをするんだろう?」

このように「看護師といえば病院で働く仕事」と思っていたり、看護師の仕事を曖昧にしか知らなかったりする人は多く、実際にどんな仕事があるのか知っている人は少ないです。

実は看護師の働く場所は、病院だけではありません。看護師の資格があれば様々な場所で、その専門性を活かした仕事をすることができます。

この記事では、現役看護師の私の経験もお伝えしながら、看護師のさまざまな働き方や働く場所について紹介していきます。

「将来は人の役に立つ仕事がしたい」「資格のある安定した職業につきたい」という思いから看護師を目指している人、憧れている人が、より具体的に看護師の仕事をイメージできる内容になっています。

看護師仕事の基礎知識

そもそも看護師の仕事とは?

あなたは看護師の仕事にどんなイメージを持っているでしょうか。実は看護師の仕事内容は法律で決められています。

保健師助産師看護師法の第5条で、看護師とは

「傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう」

といわれています。 

法律の文章なので難しく聞こえるかもしれませんが、つまりは病気にかかっている人やけがをしている人、また産後の女性(上記の法律内で「じよく婦」といわれる人のこと)の治療や回復のためのお世話、また医師が患者様を診察する際の介助です。

お世話や介助と聞くと、国家資格がなくてもできるのではないか、と思う人もいるのではないでしょうか。しかしそうではありません。例えば体温を測ること。ただ測るだけなら資格のない人でもできますが、看護師は身体について専門的な勉強をしてきた専門家です。その知識をもとに、体温を測るタイミングを考えて、さらにその体温が問題ないのかどうか、問題であるならどのような可能性があるのか、などさまざまなことを考えます。

医師の診察の介助の場合は、その診察ではどのような検査をするのか、医師は次に何を診ようとしているのか、ということを考えながら、患者様の負担を減らしスムーズに診察が進むように、必要な道具などの準備をします。診察中に患者様の体調が崩れないかも同時に観察しなければなりません。

また「医師の指示による医療行為」も看護師の仕事になります。具体的には、採血や点滴、注射などです。

このように看護師は特別な知識と技術を持って働く専門職です。

では看護師にはどのような働き方や働く場所があるのか、看護師の具体的な仕事内容にそってお伝えしていきます。

看護師の仕事①臨床業務

看護師の仕事としていちばん基本ともいえるでしょう。「臨床」とは簡単にいえば「医療現場」のこと。あなたがイメージしているであろう、病院やクリニック、診療所など医療機関での仕事です。そこで看護師は医師の指示のもと、看護師に認められた範囲内で、患者様の治療や回復に向けたケアを実践します。

この「看護師に認められた範囲」とは、法律(「そもそも看護師の仕事とは?」の内容に出てきた保健師助産師看護師法)で定められており、その病院や担当する医師によって考え方が違うということはありません。

臨床で必要なケア方法や技術は、看護学校や看護大学で勉強しながら基礎を身に付けていき、実際に資格を取って働き始めてからしっかり修得していくものが多いです。

ですので、これから看護師になろうと思っている人で、「人に針を刺すとか自分にできるのか不安」という気持ちがあっても大丈夫です。

なぜなら、私は今では後輩指導や学生指導を行う立場になっていますが、学生時代には採血のテスト(採血練習用の人形を使ったテスト)で失敗しています。

練習ではうまくできていたのに、テスト本番では緊張してしまい、血が取れませんでした。再試験でなんとか合格し無事単位をもらうことができましたが、あの時はクラスのほとんどが受かっていた中で不合格だったため、相当落ち込んだという経験があります。

ですので、極端な言い方になりますが、看護学校や大学に入れれば、そのあとは多少成績が低くてもやる気を失わず、課題や実習を乗り越えて、国家試験合格と学校卒業ができれば大丈夫。現場でもそのやる気を持ち続ければ、看護師として働くことができます。

また、看護師の臨床業務について「医師の指示のもと」とお伝えしましたが、看護師も専門知識を持っており経験やスキルアップを重ねていくことができます。

そのようにしていくと患者様の状態や今後の治療について、医師と同等に話し合いができて、看護師としての意見の提案もできるようになります。

臨床でのスキルアップをめざしていくことは、これからお伝えする、看護師のさまざまな働き方の土台にもなります。臨床以外での働き方もたくさんありますが、看護師として働くのであれば臨床を経験しておくことは必須ともいえるでしょう。

看護師の仕事②患者様のケア

患者様のケアに関することも、看護師の仕事として思いつく人が多いでしょう。特に臨床では看護の対象となる患者様がいて、患者様中心の医療や看護を行っていくことが求められます。では患者様のケアとは具体的に何をするのかをお伝えします。 

まずバイタルサインと呼ばれる体温、呼吸、血圧、脈拍を基本とした値やその他の訴えなどをもとに患者様の体調の変化を観察することが基本です。

そこから、清潔を保つケアや、排泄介助、栄養摂取の介助、内服薬の管理など、患者様が自身で行えないことをサポートしていくことになります。

患者様のケアにおいて現場でよく聞く言葉が「個別性」です。それは、一般的に決まっているケアをすべての患者様に同じように行うのではなく、その患者様に合わせたケアが必要だということです。個別性を意識することでその患者様に寄り添った、より効果的な看護ができます。

個別性については、実習にこられている看護学生さんに私もよく伝えていることで、そこに苦戦している学生さんも多くいます。

その患者様の個別性を考えたケアを考えることは現役で働く私たちでも難しく感じることがあるくらい、奥が深いです。なぜそんな難しいことを、看護学生さんに求めるのかと疑問を持つ人もいると思います。

その理由は、看護学生さんは一人の患者様と深く関わりを続けられるためです。現場に出ると、何人もの患者様を同時に受け持つことになり、一人ひとりの方との関わりにはどうしても限界があります。

だからこそ、一人の患者様と関わることのできる実習という場で、その力を磨いていってほしいと願っています。

実際に現場で働く看護師は、個別性のあるケアを実践するために日々メンバー同士で話し合いを重ねながら、よりよい看護をめざしています。

看護師の仕事③チーム医療への参加

チーム医療とは「医療に従事する他種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」と厚生労働省から説明されています。

簡単にいえば、「医療に関する様々な職種が、自分のスキルを生かし協力し合いながら、対象となる患者様のための治療やケアを考え実践すること」です。

チーム医療において看護師の役割は重要です。

チームでの看護師の役割は患者様の代弁者になることです。看護師がチームメンバーの中で患者様にいちばん近い立場であり、治療などの方針を話し合う上で、患者様の思いをいちばん把握できるのは看護師です。

看護師は患者様の思いを代弁し、患者様の思いに寄り添った治療や対応をチームで行えるように貢献することができます。

これはやりがいでもありますが、難しい面もあります。

私が以前、予後の短い終末期の患者様を受け持った際、その患者様の希望を叶えるためにチームの一員として関わりました。「産まれたばかりのお孫さんに会いたい」という患者様の希望がありました。しかし、毎日の医療処置が必要であり、簡単に叶えられるものではありませんでした。

チームの医師も患者様の体調を優先しあまり賛成はしていない中で、どうしたら実現できるか、看護師同士はもちろん、他の職種とも話し合いながら実現できました。

その際に私は看護師として、患者様の思いをチームに共有するだけでなく、患者様の家族とも関係性を作りました。

家族の思いも確認しながらどのようにサポートを得られるかを相談し、外出先では家族でも可能な処置を実施してもらえるよう、その処置を練習してもらい、外出計画を進めました。この経験はチームだからこそできたことだと感じています。

看護師の仕事④専門分野における看護

看護師と一言にいっても、それぞれに専門分野や得意分野があることが多く、その分野はたくさんあります。

例えば急性期看護や慢性期看護、精神看護と表現されるものです。もちろん、看護師の資格を取るまでの学校での勉強や実習ではすべての分野を学びます。

しかし実際に医療機関で働き始めると、外科、内科など自分が働く部署の看護の力が伸びていきます。それだけでも、臨床現場で働く看護師は専門性を持っているといえます。

その中でより専門性を高めたい、活かしていきたいと思うようになった時に選択肢になるのが「認定看護師」「専門看護師」の取得です。

「認定」と「専門」は異なった資格ですが、それぞれに多くの分野があり、自分の興味のある分野の「認定看護師」や「専門看護師」にチャレンジすることが可能です。

看護師として臨床経験を持った上で、さらに教育を受けて認定試験に合格するという部分はどちらも共通です。

どちらの資格に関しても、それを持った看護師がいることは病院の強みにもなり貴重な人材です。その資格に特化した仕事を任されるようになり、仕事のやりがいを高めることができます。

実際に働く中でケアに困った時は、院内の認定看護師に相談することは多くあります。

私自身も、がん患者様の痛みのコントロールが上手くいかず、苦しむ患者様にどのように関わったら楽になってもらえるか悩んだ時に、「がん性疼痛看護」の認定看護師に協力を依頼していたことがあります。

相談をすることで、鎮痛剤の種類や使用方法、日々の看護ケアについてもアドバイスがもらえ、患者様の痛みを軽減することにつながりました。

このような資格を持つ看護師は、専門分野においては医師の知識を上回ることもあり、看護師だけでなく医師からも頼りにされる存在になれます。

もちろん簡単に取れる資格ではありませんが看護力や専門性を高めたいと思うのであれば、ぜひ視野に入れてほしい資格です。

看護師の仕事⑤在宅看護でのホームケア

看護分野には在宅という分野もあります。

実は病院など医療機関以外でも、看護師が医師の指示のもとの仕事を行う場があり、それが在宅。

つまり患者様の住む場所へ訪問して実践する看護です。訪問看護という言葉の方が聞き馴染みがあるかもしれません。

病気とたたかう患者様はすべての人が入院しているわけではないことは想像がつくと思います。

日常的な看護ケアが必要であっても「病院ではなく自宅で家族と一緒に過ごしたい」「住み慣れた家に帰りたい」という思いのある患者様はたくさんいます。

そのような患者様が看護ケアを受けながら、自分らしい生活を送るサポートをする仕事です。これは医師から必要性を認められている患者様が受けられる看護になりますが、実際に看護師が訪問してケアする仕事ですので、その場の医療者は自分だけです。

もちろん何か患者様に異変があれば医師に相談もできますが、基本的には看護師が判断しながらケアをする必要があります。

私自身は訪問看護の実習でしか在宅看護を経験したことはありませんが、その時に病院での看護との違いを強く感じました。

特に医療品についてです。医療機関には、手袋をはじめケアに必要な物がたくさんそろっています。しかし当然ながら患者様の自宅には医療用の物がそろっていることは少ないです。それは患者様やその家庭で準備してもらう必要があるので経済的な負担もあり、そこまでは求められません。

そのため患者様の家にある物で代用できる物はないかを考えなければなりません。時には医療現場での常識を崩した方法をとることもあります。

そのような難しさを感じたと同時に、入院している患者様よりも活気がある方が多いなと思った覚えもあります。

在宅看護は難しさはありますが、患者様のその人らしい生活をサポートできるやりがいのある仕事です。

看護師の仕事⑥教育と研究

現場で働いていた看護師が、看護学校へ転職し教員、つまり学校の先生になるという選択肢もあります。教員は自身の経験や知識を教育の場にいかして、未来の人材育成に貢献できるというやりがいです。

専門学校の教員は、学生教育がメインになるため、一人一人の学生と関わりを深めながら教育を進めることができます。

看護大学の教員は、看護教育だけでなく看護研究に取り組むこともできます。大学教員になると自身の経験や興味に合わせた分野を担当して、その分野の講義や教育を行いながら、看護研究に取り組むことになります。

看護師を目指しているみなさんは、「看護師に研究って必要なの?」と疑問を持つかもしれません。看護研究は重要といえます。

現場で行われる看護には研究がもとになっている業務やケアは多くあり、患者様の治療に役立っています。実際に働く中で、看護学校で学ぶ基本的な看護知識だけでは対応に困ることもよくあります。そんな時に、同じような病状の患者様に関する研究はないかを探してケア方法を検討していくこともあります。

現場で働く中で自分が行う看護に疑問を持ったことをきっかけに、そこから看護研究の道に進むという看護師は多く、看護師としての働き方の一つになります。

看護師の仕事⑦行政業務

行政の仕事は公務員としての働き方です。実際に行政で働く看護職といえば、保健師が多く、看護師は少数と言えます。保健師は看護師の資格があることを前提に取れる国家資格で、地域(保健センターや保健所など)で、住んでいる人の健康を守るために仕事をします。保健師が多いとは言っても、看護師も同じように行政で働くことができます。

具体的な仕事としては、保健センターや保健所で、地域に住む人の健康相談にのることや、住む人の健康を守るために病院などの医療機関と連携を取ることがあります。また公立の保育園や小中高の教育機関で子どもたちの健康管理をする仕事もあります。さらには公立の看護学校の教員も行政の仕事に含まれます。

行政で働くということは、現場とは違ったやりがいがあると思っています。病院などの現場とは違い、健康な人に関わることが多く、病気やけがを予防して健康を守っていく仕事です。

また公務員としての仕事は、規則的に働くことができるメリットがあると私は感じています。不規則な勤務が多い医療現場の仕事で「体調管理が難しい」「育児の関係で夜勤は難しい」という看護師は、私の周りにもよくいます。実際に体調を崩してしまう人も珍しくありません。そんな看護師が、体調管理やスケジュール管理がしやすい環境で資格をいかしながら働けるという選択肢があることも魅力だといえるでしょう。

看護師の仕事⑧公衆衛生と予防医療

公衆衛生について専門といえるのは、看護師よりも保健師になります。公衆衛生とは、非常に簡単に言えば、「人々という集団の病気やケガを予防し、健康を守るための活動」。

ポイントなのは個人に対する治療や看護ではなく、集団に対する健康維持のための活動というところでしょう。そこに関わってくる重要なことが予防医療です。

予防医療は公衆衛生活動であり、「病気を防ぐ」「早期発見」「病気の回復や再発防止」という3つの段階があります。

看護師として予防医療に関わる仕事をしたいと思う場合、保健センターや保健所に就職する方法もありますが、病院でも健康相談を受けているところがあったり、入院中の患者様に対して提供できる予防医療もあったりします。

例えば、治療が終わり退院する患者様に、再発予防のための生活指導をすることなどが挙げられます。

ただ看護師である私の考えをいうと、看護師をめざしている段階でこの分野に興味を持っている方には保健師になることをおすすめします。

保健師になるには、いちばん早いのは保健師の資格を取れる4年制看護大学に入学し看護師と保健師の勉強をすることです。

国家試験も同じ年に保健師看護師どちらも受けることができます。また看護師として臨床経験を得てから保健師をめざす人もいます。

 

看護師の仕事⑨メンタルヘルスとカウンセリング

看護師の仕事は患者様の身体の健康のサポートだけではありません。メンタルヘルス、つまり心の健康をサポートする仕事もあります。これは精神看護という分野につながります。

ただ、身体の健康とはまったく別というわけではなく、心が健康であることは身体が健康であることにも大きく関わります。

予防的なサポートから、精神的な病気にかかってしまった方への看護があります。予防的なサポートは、行政をはじめ一般的な企業や会社でカウンセリングをしながら住む人、働く人の心の健康を守ります。カウンセリング能力は看護師に必要な能力です。

これを聞いて、「カウンセリングなんて難しいことできないし、自分は看護師は向いてないかな」と思った方がいるかもしれません。

しかし、これは看護学校で学ぶ必須の内容であり、また身体に病気のある方に対してもカウンセリングの力は必要となります。

その患者様の悩みや抱えている問題を引き出し、それを解決していくことが求められるためです。看護学校で基本を学んでおけば、あとは実践あるのみ。

働いてからでも十分に身に付けられます。私が働く病院でも、スタッフに向けての研修が開かれており、私も漠然と理解していたスキルでしたが、現場で学びを深めることで少しずつ身に付けられていると思います。

精神的な病気にかかってしまった方に対しての看護師の仕事は、入院治療される患者様をはじめ、在宅看護として関わることのできる場もあります。

身体の治療ではなく、心の治療ということで、一般的な看護師のイメージとは異なるため、看護師を目指す段階でここを視野に入れている人は少ないかもしれませんが、実際に看護を学び、経験をしていくことで、メンタルヘルスケアにやりがいを感じる人もいますので、看護師の仕事の一つとして知っておきましょう。

 

 看護師の仕事⑩救急看護と災害対応

救急の看護師は、多くが医療機関の救急外来での対応をします。医療ドラマなどでも取り上げられることの多い現場なのでなんとなくイメージがつく人もいるかもしれません。

救急で働くには、看護師としてより高いレベルが求められます。目の前で苦しんでいる患者様の限られた情報から、その人の身体では何が起こっているのか、どうすることが必要なのかを短時間で考えて判断しなければならないためです。

もちろん医師もいる現場ですが、同時に何人かの患者様の対応が重なった時、どの患者様の症状が緊急性が高く、医師の対応が必要なのかを看護師が考えなければならないこともあります。

私は救急で働いた経験はありませんが、救急看護の経験がある先輩の話や対応をみていると、医師と同じくらいの知識があり、医師に近い判断をしており、そのスキルの高さを感じさせられます。

そしてその能力が活かされ、最近でも必要とされている場が、災害現場です。

自然災害をはじめ、多数の負傷者が出ている事故。そこで対応する看護師や医師等の医療者はトリアージといわれる、患者様の治療の優先順位を決めるということをしなければなりません。

災害時は医療機関もパンクして対応しきれない深刻な状況になることが多く、医療者も治療場所も限られてしまいます。

トリアージはこの深刻な災害現場でより多くのいのちを救うために行うことで、救急看護の知識や経験が非常に重要となります。

この分野を「難しそう」「怖い」と思う人もいるでしょう。正直なところ私もそう思っています。

ですが、救急の現場で患者様を救えた時や乗り切った時の達成感は非常に大きなものであり、やりがいのある仕事だと思っています。

看護師としてより高いレベルが求められるといいましたが、新人から救急外来へ配属されて働く場合もあり、初めは何もできなくて当然のところから、高い看護力が身に付いていきます。ですので、救急看護を「頭がいい、できる看護師しか働けない」と思うことは間違いです。

興味や憧れがあれば、目標を持って勉強して叶えていきましょう。

救急看護は「ゆっくりと患者様に関わりたい」というよりは、自分で考えながらてきぱきと仕事をこなすことが好きという人に向いています。

 

 看護師の仕事⑪ヘルスケアとイノベーション技術

聞きなれない言葉だと思いますが、イノベーションとは一般的に「技術革新」「社会に影響を与える新しい価値」などの意味があります。

これが看護師の仕事にどう関係があるのか。時代が変わっていく中で、現在は高齢化が進み健康寿命(日常生活に支障がない健康な状態で過ごせる期間)を伸ばすことが日本の課題となっています。

そこで看護研究などをもとに今までの常識を変えて、健康を守るヘルスケア能力を高めていくこと、人員不足といわれている医療現場で効率的によりよい看護ができるようにしていくことが求められています。

現場で働く中で疑問に思ったことや気づいたことを、看護研究という形で追求するのが看護技術のイノベーションへつながります。

「技術革新」なんて言葉を聞くと難しそうに思ってしまう人もいるかもしれません。ですが、看護の分野においてまったく新しいことが出てくることは滅多にありません。

新しいことを考えるのではなく、日常の細かなケアやささいなことの方法を見直し、よりよい方法に変えるというくらいでいいのです。

とはいっても、多忙な医療現場で働いていると日々の業務に追われて、イノベーションという言葉でさえもなかなか頭に置いておけません。

ですが、忙しい現場でも職場全体で研究などに取り組むところもあり、日頃の仕事をこなす中で、少しでも自分のケア方法に「もっといい方法はないのかな」と思えることが大切なのだと思っています。

看護師が人々の健康を守るために、イノベーションという考え方が重要になります。

 

 看護師の仕事⑫リーダーシップと管理

最後は看護師のリーダーシップと管理です。これは経験を積んだ看護師が「主任」「師長」「部長」として行うことの多い仕事ですが、一人ひとりの看護師にも求められる仕事です。

医療機関で働く看護師は、一人で日常の仕事をこなすのではなく、複数人のメンバーで仕事をします。

リーダーはそのメンバーをまとめ、一日の仕事がスムーズに進むように常に全体を把握して、上手くいっていないところはないか、フォローを必要とするメンバーはいないかなど管理をしていきます。

主任や師長とともに部署の管理のサポートをすることも求められます。

さらに大きな単位では、数百人規模になることもある病院全体の看護職をまとめる看護部長という立場になります。

また病院内の感染対策チームや、医療安全チームなどでリーダーシップを発揮する看護師もいます。キャリアアップとしての働き方でもありますが、経験を積んできたスタッフであれば求められてくる力です。

現在私は師長や主任ではなく、病棟スタッフの一人という立場で働いていますが、経験を積んでいくと自分の仕事をしながらでも、少しずつ周りをみれるようになり、徐々にリーダーの仕事も任されるようになります。

簡単なことではありませんが、患者様へのよりよい看護のためにも、メンバーをまとめることは、一つのやり甲斐にも感じています。

これから看護師を目指す皆さんにはまだ早い話だと感じる人も多いと思います。

もちろん、新人から考えなければならないことではなく、スキルアップしていく中での話ですが、逆にいえば医療現場や看護師が働く場にはそのようにフォローしてもらえるシステムがあるということを理解してもらえれば、と思います。

 

 まとめ

看護師の仕事や働き方について、紹介しました。

あなたが想像していた以上に仕事の種類があったのではないでしょうか。

このように看護師は、国家資格を持った専門職として働くことができるだけでなく、自分の興味やスキル、生活スタイルに合わせて仕事内容や働き方を選べる職業です。

なにより、患者様や人のために自分の力を発揮できる素敵な仕事です。

将来看護師になりたいと思っているあなたが、自分らしく楽しく働く看護師になれることを楽しみにしています。

※引用「チーム医療推進について(チーム医療の推進に関する検討会 報告書)」 平成22年3月19日 厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/03/dl/s0319-9a.pdf

 

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