呼吸器内科の看護師は、呼吸器疾患を持つ患者さんの呼吸機能の維持・改善をサポートする重要な役割を担っています。
呼吸器疾患に興味があり、患者さんと深く関わりたい人におすすめの仕事です。
ぜひ、最後までお読みいただき、イメージを膨らませてくださいね。
- 看護師(呼吸器内科)仕事①バイタルサイン測定
- 看護師(呼吸器内科)仕事②呼吸状態の観察
- 看護師(呼吸器内科)仕事③酸素療法中の看護
- 看護師(呼吸器内科)仕事④人工呼吸器装着中の看護
- 看護師(呼吸器内科)仕事⑤点滴や内服薬の管理
- 看護師(呼吸器内科)仕事⑥化学療法を受ける患者の看護
- 看護師(呼吸器内科)仕事⑦放射線療法を受ける患者の看護
- 看護師(呼吸器内科)仕事⑧肺がんなどのがん疼痛の看護
- 看護師(呼吸器内科)仕事⑨胸腔ドレーン挿入の介助やドレーン挿入中の看護
- 看護師(呼吸器内科)仕事⑩動脈血採血の看護
- 看護師(呼吸器内科)仕事⑪気管支鏡検査を受ける患者さんの検査前後の看護
- 看護師(呼吸器内科)仕事⑫呼吸リハビリテーション
- 看護師(呼吸器内科)仕事⑬退院へ向けての看護
看護師(呼吸器内科)仕事①バイタルサイン測定
バイタルサイン測定を行うときに大切なのは①正確に測定する②安楽に測定するです。
バイタルサインとは生命兆候を示す情報です。
主に呼吸、体温、脈拍、血圧の4つの項目が基本となります。
この得られたデータが正常から逸脱していないか、前回の測定値と比べることで現在の患者さんの状態について知ることができます。
バイタルサインが正常か異常かを判断するためにはデータは正確でなければなりません。
そのため、バイタルサイン測定は正確に行う必要があります。運動、排泄、食事はバイタルサインの数値に影響を与えます。
そのため30分ほどは安静にした状態で測定するとより正確な数値が測定できます。
脈拍を測定する前後で呼吸回数の測定します。なぜなら呼吸は意識をすると自然な呼吸回数の測定が難しくなるからです。
そして、安楽ではない状況で測定するとそれもやはり数値に影響を及ぼす可能性があります。
そのためバイタルサイン測定にはいくつか留意点があります。
室温が適温か、測定者の手や物品(たとえば聴診器)が冷たすぎないか、衣服を脱ぐ必要がある場合には露出は最小限にするなどの配慮が大切です。
バイタルサイン測定は日常の業務の中ではかなり頻繁に行う技術です。
ですが、私も就職した当初は緊張し、患者さんから「看護師さん緊張してる?大丈夫だよ!」と声をかけてもらったこともありました。
緊張は相手にも伝わるので自分自身もリラックスした状態で患者さんのバイタルサイン測定を行いましょう。
看護師(呼吸器内科)仕事②呼吸状態の観察
呼吸状態の観察にはフィジカルイグザミネーション(①視診②触診③打診④聴診)という技術を用いて観察します。
呼吸器内科の看護では呼吸状態の観察が特に重要です。
バイタルサインや酸素飽和度などの機械の数字だけではなく、自分の目で見て、触ってみて、叩いてみて、音を聞いてみる、この五感を通した観察がとても大切です。
具体的にフィジカルイグザミネーションとはこのようなことを行います。
①視診 目で見て呼吸回数、呼吸様式、胸郭の動き、呼吸のリズムや深さの観察
②触診 触ってみて胸郭の動きや気管支が左右にずれていないかや皮膚の状態の観察
③打診 胸部を指で叩いてみて胸に空気が溜まっていないかなどの観察
④聴診 聴診器で息を吸ったときや吐いたときの気管支や肺の音をきいて観察
これらのフィジカルイグザミネーションにより得られた情報と患者さんの訴えを合わせてアセスメント(評価)し患者さんにはどんな看護が必要かを考えます。
呼吸状態の観察って聞くとなんだか難しそうに思いますよね。
まずは呼吸器の解剖生理や観察する項目の正常と異常を学習し理解しましょう。
解剖生理の知識や観察項目の正常と異常がわかると、実際に患者さんを観察するときに正常と異常を見極められるようになります。
副雑音 | 副雑音の種類 | どんな時に聴取されるか |
連続性副雑音 | 高調性(高音性):笛音 | ヒューヒューという連続した音。 吸気時はない。呼気時にあるのが特徴。 狭いわずかな場所を空気が通る時に鳴る音 |
低調性(低温性):いびき音 | グーグーという低音で呼気時に聴取。 気道狭窄で狭まった場所を空気が通ることで低い音が鳴る。 |
|
断続性副雑音 | 粗い:水泡音 | ブクブクという音。 吸気・呼気時に空気が分泌物の中を通って水をはじける時になる音。 |
微細な:捻髪音 | パチパチ、パリパリという音。 肺胞が膨らむときに鳴る音で吸気時に鳴る音。 |
観察に自信がないとき、心配なときは先輩に声をかけて一緒に呼吸音を聞いてもらったり、観察してもらうといいですよ。
そして自分が本で学習したことと実際に患者さんを観察したことをつなげて考えられるようになるとレベルアップできます。
看護師(呼吸器内科)仕事③酸素療法中の看護
酸素療法中の看護は、酸素投与を行ったり、患者さんの異常の早期発見することも重要な役割です。さらに、患者さんの酸素療法に対する思いや精神面のケアなどがあります。
呼吸器内科の患者さんの多くは酸素療法を行っています。
酸素療法とは医師の指示のもと低酸素血症の改善を目指すために酸素投与を行う治療のことです。
酸素投与には酸素カニューレやマスク、リザーバーマスクなどの物品があります。
患者さんの状態に合わせて酸素流量が設定されるため、それに適した物品を選択しなければなりません。
酸素流量に適したカニューレやマスクを正しく用いることで低酸素血症の改善を目指します。
酸素投与に使用する物品
長所 | 短所 | |
カニューレ | 低濃度の酸素投与が可能。 マスクのような圧迫感はない。 会話や食事が可能。 |
高流量の酸素投与は鼻腔粘膜の乾燥を生じる。 口呼吸には無効。 |
酸素マスク | カニューレより高濃度の酸素投与ができる。 | カニューレより圧迫感がある。 |
リザーバー付きマスク | 酸素マスクより高濃度の酸素投与ができる。 | カニューレより圧迫感がある。 酸素流量が少ないとマスク内に呼気が滞留してしまう。 |
そして酸素投与中、呼吸状態や全身状態がどうか、酸素投与を行っていても低酸素血症になっていないかなど観察し医師に報告・相談します。
また、低酸素血症の改善を目指すために酸素投与を行いますが、酸素投与にも合併症があります。
呼吸不全の患者さんがとくに注意するべき合併症はCO₂ナルコ―シスという合併症です。
そのため酸素投与中の患者さん異常の早期発見が重要です。
そして酸素療法ではカニューレやマスクを装着することが患者さんのストレスにつながることがあります。
また、入院中だけでなく退院後も在宅酸素療法を継続する患者さんもいます。
患者さんの思いを受け止め関わることが酸素療法へ前向きに取り組むための支援へとつながります。
酸素療法に対する受け止め方は患者さんによって様々です。
患者さんの酸素療法に対する思いを聞き、気持ちに寄り添いましょう。
看護師(呼吸器内科)仕事④人工呼吸器装着中の看護
人工呼吸器装着中の看護としては
①人工呼吸器が医師の指示通りに設定されているかどうか②人工呼吸器が正しく管理されているかどうか③人工呼吸器と患者さんが安全に接続されているか④人工呼吸器装着中の呼吸状態や全身状態の異常の早期発見④日常生活の援助や呼吸リハビリテーションなどがあります。
人工呼吸器は患者さんの呼吸を助けるための機械です。
機械で空気を送り込まれると体に負担もあり合併症を起こす危険性もあります。
また、人工呼吸器装着中は意思疎通が十分に取れず、療養環境や薬剤などの影響によりせん妄となる可能性もあり精神的・身体的ストレスもあります。
機械だけに目を向けるのではなく、患者さん自身に目を向けて看護しましょう。
酸素療法だけでなく人工呼吸器装着による呼吸管理も呼吸器内科では多いです。
人工呼吸器を装着した患者さんの看護をするためには人工呼吸器そのものの管理や設定の知識、呼吸の解剖生理や患者さんの疾患の知識が必要です。
そして呼吸状態や全身状態の観察、日常生活のケアやリハビリを行います。
・人工呼吸器の仕組みや換気モードに種類・機能
・人工呼吸器のアラームの意味
・人工呼吸器による合併症
・呼吸の解剖生理
・患者さんの疾患
こんなふうに書くととても難しそうに思いますし、自分にできるのかな?と思いますよね。
私も人工呼吸器を装着した患者さんをはじめて受け持った時は人工呼吸器のアラーム音が作動すると緊張したのを覚えています。
本を読んで勉強をしていても実際に患者さんを見てみると頭が真っ白になったこともありました。1つずつ勉強したことと実際に患者さんをみて学んだことを結び付けていくことが大切です。
治療のことや人工呼吸器のことも自分が学習したことを踏まえて先輩に聞いてみるましょう。そして人工呼吸器を装着した状態から患者さんが1日も早い回復へとつながるように看護できるといいですね。
工呼吸器管理や呼吸リハビリなどの呼吸に関するケアはとても奥が深いです。
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看護師(呼吸器内科)仕事⑤点滴や内服薬の管理
点滴や内服薬の管理は患者さんの理解力や自己管理能力があるかどうか見極めることが大切です。
入院している患者さんは高齢の方が多く、認知症などにより自分では管理するのが難しい患者さんも多くいます。
点滴や内服薬の管理をするためにはまずは患者さんの理解力について情報収集し、どのような管理方法が適切かを考えます。
安全に確実に薬剤を投与することが患者さんの回復を早めます。
では、患者さんに合わせた管理方法とはどのようなものでしょうか?
たとえば認知症のある患者さんに点滴を行う場合にはどんな工夫ができるか考えてみましょう。いくつか工夫できるポイントがありますよ!
認知症や理解力が低下している患者さんには「点滴は大切ですよ。触らないでくださいね」と説明しても理解しておくことや記憶しておくことが難しいことがあります。
そして点滴を自己抜去してしまう可能性もあります。
そういうときには点滴のチューブを患者さんの意識が向かないようにします。例えば袖の中にチューブを通してみたり、包帯で保護するなどがあります。
・チューブを袖の中に通してみたり、包帯で保護してみる
内服薬の管理であれば今までの薬の管理方法や入院時に持参されたお薬をみせてもらい正しく管理できていたかどうかを確認します。
病院によっては内服管理のアセスメントシートなどを導入しているところもあるのでそれらも活用します。
内服薬を管理する方法はいろいろな方法があります。
たとえば1週間分や1日分を箱に入れて管理する方法、たくさんのお薬を飲んでいる時にはそれぞれの薬をひとまとめにして飲めるような方法、カレンダーにいれる方法などがあります。
患者さんの今までの管理方法や理解力がどのようかなどアセスメントし内服薬の管理方法について検討しましょう。
点滴や内服薬の管理も患者さんに合わせた方法を選択すると患者さんも自分で管理しやすくなりますよ。そして自分で正しく管理できると患者さんの自信にもつながります。
看護師(呼吸器内科)仕事⑥化学療法を受ける患者の看護
化学療法中は安全で安楽に治療が受けられるように支援します。
治療開始前には治療のスケジュールについて患者さんと確認し治療に対するイメージをもってもらいます。そして起こりうる副作用症状とその症状の対処方法について指導します。
化学療法とは、抗がん剤を使ってがんを死滅または小さくするために行う治療のことです。抗がん剤は副作用が出やすいお薬です。
化学療法は治療の内容によりますが、入院中だけではなく外来通院でもできます。
治療開始直後はアレルギー反応が起きていないかがまず重要な観察ポイントとなります。
また、血管外に抗がん剤が漏れ出ることで皮膚の壊死を起こす危険性があります。そのため化学療法中は特に点滴挿入部の腫れや痛み、赤くなったりしていないかの観察が大切です。
抗がん剤の副作用は吐き気や下痢、便秘、しびれなど使用する薬剤により様々です。
患者さんがどの薬剤でどんな治療を行ったのか、そしてその薬剤はどんな副作用がでるのかを把握し、患者さんの観察をすることが必要です。
そして副作用症状に対してはできるだけ副作用が軽減できるようなケアを提供します。
治療についてははじめに医師から説明が行われますが、看護師も治療のスケジュールや副作用についてオリエンテーションを行います。
では、副作用について患者さんに指導するのはなぜでしょうか?
「治療を開始すると吐き気や下痢、便秘、しびれ、関節痛などがでますよ」なんて言われると不安が高まりそうに思えますよね。
たしかに治療や病状について不安を抱えた状態で副作用について話を聞くと
「え、そんな症状がでるの?」と患者さんは化学療法に対して気がかりに思うかもしれません。
しかしその一方で、副作用について説明すると患者さん自身が副作用を発見するための知識をもち、看護師がすみやかに対応できるようになります。
そして副作用についてだけ説明するのではなく、副作用には対処方法があることを必ず伝えましょう。
すると副作用がたとえ出たとしても対処できるんだという患者さんの安心感につながります。
がんの患者さんは病気がよくなるのだろうかということや治療そのものに対しても不安に思っていることが多いです。
様々な不安を抱えた患者さんがどのように病気や治療を受け止めているのか確認しながらオリエンテーションしましょう。
看護師(呼吸器内科)仕事⑦放射線療法を受ける患者の看護
放射線療法を受ける患者の看護は治療についてのオリエンテーションを行い、治療中は異常の早期発見と副作用症状の軽減につとめます。
放射線治療とはがんに放射線をあててがんの細胞を破壊する治療です。骨に転移しているときの痛みや脳の転移による神経症状を軽減するためにも行われます。
放射線治療は入院中だけではなく病状によっては外来通院で治療を行うこともあります。
治療が計画されると治療の内容やスケジュールについて医師から説明され、その後CTなどを行いどこに放射線をあてるかを検討し、マーキングをします。
体につけたマーキング治療が終わるまで消さないということを患者さんには説明します。
放射線療法の副作用についても治療中すぐに出るものと治療をしてしばらくしてから出てくるものがあります。
でやすい副作用としては体のだるさや食欲の低下、皮膚の赤みやかゆみ、吐き気、下痢、脱毛などがあります。
副作用症状が悪化していないか、また日常生活に支障をきたしていないかなど観察し放射線治療が継続して受けられるように援助します。
放射線治療を受ける患者さんの中にはがんの骨転移などで体に痛みを抱える方も多くいます。放射線治療が安楽に受けられるように治療中の痛みのコントロールも必要です。
放射線治療を受ける患者さんは放射線をあてることや病気はよくなるか、放射線治療を受けることでの副作用はどうかなどの不安を抱きやすいです。
患者さんの病気や治療に対してどんなふうに感じているのかを情報収集しましょう。そして前向きに治療が受けられるように治療や副作用について説明することが大切です。
看護師(呼吸器内科)仕事⑧肺がんなどのがん疼痛の看護
肺がんなどのがん疼痛の看護は
①痛みについて患者さん本人に確認し痛みの強さと痛みの状況についての把握する②疼痛による苦痛を軽減し安楽に過ごせるように援助する③患者さんの心理状態を理解する
などがあります。
がん疼痛に対する薬物療法は、WHO 方式がん疼痛治療法に則って実施されることが基本です。
医師の指示により薬剤の投与が行われます。
決まった時間に決められた量の薬剤を使用し痛みが軽減できているかどうか観察し、痛みの状況に合わせて薬剤の回数や量を変更し調整します。
・痛みの部位(限局的、複数的)
・痛みの部位(限局的、複数的)
・痛みの強さ(スケールを用いて評価)
・痛みの性質(体性痛、内臓痛、神経障害性疼痛であるか)
・痛みの影響因子や生活への影響など
・痛みのはじまり(いつ痛みがあるのか、回数、間歇的・持続的、強さの変化など)など
このような観察を行いながら痛みの評価を行い、少しでも痛みが和らいだ状態で日常生活が過ごせるよう看護します。
また、病院によっては緩和ケアチームが活動する病院もあります。
緩和ケアチームは看護師、医師、薬剤師、栄養士などの他職種で構成されています。
緩和ケアチームはがんによる痛みや症状のつらさ、精神的なつらさといったがんによる苦痛を軽減するためのサポートをしてくれます。
患者さんの状態に合わせて緩和ケアチームなどのチームに協力を依頼し、患者さんが少しでも安楽に過ごせるように看護しましょう。
看護師(呼吸器内科)仕事⑨胸腔ドレーン挿入の介助やドレーン挿入中の看護
胸腔ドレーン挿入が安全に行われ、そしてドレーンを挿入した状態で安全・安楽に過ごすことができるよう看護します。
呼吸器内科ではドレーンの挿入は胸水貯留の時に行うことが多いです。
ドレーンの挿入はせず、一時的に胸水を抜くだけの胸水穿刺の場合もあります。
ドレーンの挿入は医師が行うためその介助に看護師がつきます。
滅菌器具や薬剤、カテーテルなどを医師へ渡しながら処置中の患者さんの呼吸状態や異変がないかを観察します。
処置は痛み止めの注射なども使用して行われますがやはり痛みを伴う処置です。
処置中に患者さんが動くことで危険を伴うこともあります。
そのため処置中は患者さんのそばに付き添いながら痛みがどうか声をかけ呼吸状態などに変化がないかなども観察します。
またドレーン挿入の処置が終わるとしばらくは挿入したまま入院生活をおくることになります。
ドレーン挿入中の看護としてはドレーンの固定がゆるんでいないか、痛みがどうか、ドレーンを引っ張った状態で生活していないか、呼吸状態はどうかなどを観察します。
・ドレーンの固定がゆるんでいないか
・ドレーン挿入による痛みがどうか
・ドレーンを引っ張った状態で生活していないか
・ドレーン挿入中の呼吸状態はどうかなどの観察をする
ときおり胸腔ドレーン挿入中にドレーン挿入部から胸にかけて空気が漏れ出てしまうことがあります。これが皮下気腫という状態です。
皮下気腫が胸部から頸部、また全身へ拡大するととても危険です。
皮下気腫がないかどうか、皮下気腫があるならばどのくらいの範囲かを継続して観察するためにマーキングすることも大切です。
私も新人看護師の頃、ドレーン挿入の介助につく時はいつも緊張していました。
必要物品や手順を確認し処置の見学に入ると自分が介助するときのイメージをもちやすいと思います。
器具や物品をどんなふうに医師へ渡すかのイメージトレーニングをしてみるのもいいいですね。
そして医師への介助ばかりにとらわれないように気を付けてください。処置中の患者さんに異変がないか観察し、痛みを伴う処置を受けている患者さんに寄り添うことが大切です。
看護師(呼吸器内科)仕事⑩動脈血採血の看護
動脈血採血に看護は安全に採血できるよう物品を準備し、医師の介助につくことです。
いまは特定行為研修を終了した看護師も医師の指示のもと診療の補助として動脈血採血は実施できるようになっています。
動脈血採血は呼吸状態が悪いときや急変のときに行われます。
動脈血採血により動脈血液ガス分析を行います。動脈血液ガス分析により動脈血の酸素や二酸化炭素などの量を調べることができます。
動脈血採血は医師が動脈に針を刺して採血します。
患者さんが動くと確実に採血できないことや誤った部位に穿刺する危険性があります。そのため、あらかじめ患者さんに説明し体を支えるなど安全に採血ができるように介助します。
そして動脈血採血は静脈の採血とは違い採血後の圧迫を5~10分ほど行う必要があります。
圧迫止血をしたあと、止血が不十分なときは皮下血腫になることもあるため止血後の皮膚の状態の観察が大切です。
抗凝固薬を内服している患者さんは止血しにくいこともあるため注意しましょう。
動脈血採血は急を要するときに行われることが多い処置です。普段から手順や必要な物品を調べて手順を確認しておきましょう。そうするとあわてずに医師の介助につけますよ。
看護師(呼吸器内科)仕事⑪気管支鏡検査を受ける患者さんの検査前後の看護
気管支鏡検査を受ける患者さんの看護は検査前にはオリエンテーションを行う、そして検査後の異常の早期発見につとめます。
気管支鏡検査は肺がんや感染症などが疑われるときに行われる検査です。口や鼻からチューブを入れて気管支の観察を行います。
オリエンテーションでは検査の必要性や合併症が理解ができているか確認します。
そして必ず絶食を守ることができているかどうかを確認します。
絶食できていない状態で検査を行うと嘔吐し嘔吐物による肺炎などを起こす危険性があります。
患者さんも検査を受けることで緊張していることが多いです。
オリエンテーションを行う時には1つずつ患者さんの理解度を確かめながらすすめましょう。
検査後の看護としてはバイタルサインをチェックすること、そして喀血や胸痛、酸素飽和度の変化がないか観察します。
検査時の麻酔の効果がなくなるまで、検査後2時間は安静、そして絶飲食です。
安静を保つことができているか、絶飲食を守ることができているか観察します。
2時間が経過するまでは水も飲むことはできません。
2時間後に飲水テストを行い、異常がなければ経口摂取を開始します。
検査が安全に受けられるためには患者さんの協力が大切です。そのためには患者さんに検査の流れや検査後の注意事項についてわかりやすく丁寧に説明しましょう。
そして検査後は異常の早期発見につとめましょう。
看護師(呼吸器内科)仕事⑫呼吸リハビリテーション
呼吸リハビリテーションは、運動による呼吸困難感を軽減すること、そして運動耐久性を向上するとともに、活動範囲を拡大させ生活の質の向上と維持などを目的にして行われます。
看護師は呼吸訓練(口すぼめ呼吸や腹式呼吸など)や痰を出す練習、そして日常生活の中での動作に合わせた呼吸の練習や歩行練習などを行います。
そして呼吸リハビリテーション中の呼吸状態がどうかを観察し、それぞれの動作で息切れや呼吸困難がどうか、また客観的なデータとして動作中の酸素飽和度がどうかなどをみながらすすめていきます。
呼吸リハビリテーションは運動療法だけではなく酸素療法や栄養指導なども関わってくるため医師、理学療法士、栄養士、薬剤師などのチーム医療の中で行われます。
看護師は患者さんにとって一番身近な存在です。チームに患者さんの日々の情報提供をし、情報共有することがよりよいケアの提供につながります。
呼吸器内科に入院する呼吸不全の患者さんは低酸素血症の状態でも自覚症状が乏しく、少しの動作でも酸素飽和度が低下していることもあります。
また患者さんは呼吸困難により呼吸リハビリテーションに対して意欲が低下していることも多いです。
たとえリハビリが大切だとしても体がしんどいときに「リハビリをやりましょう、頑張りましょう」と一方的に言われると患者さんはどう思うでしょうか。
患者さんの病気に対する理解度や思いを受け止めましょう。そして患者さんがどうなりたいか話を聞き、目標を決めます。
そしてその目標を達成するための具体策を実施していきます。
患者さんの生活の質を向上するためにはどうするのがよいのかを考えましょう。そして患者さんと一緒に目標に向かって呼吸リハビリテーションに取り組むことが大切です。
看護師(呼吸器内科)仕事⑬退院へ向けての看護
退院へ向けて入院時から退院後の生活をみすえて情報収集する必要があります。そして退院後も安心して生活できるように退院後の生活指導を行います。
①患者さんが自分の病気についてどのように理解しているか
②お薬や医師から指示されたことをいままで管理できていたか
③キーパーソンは誰か
④退院後も継続する治療があるかどうか
⑤ADLの低下はないか
⑤退院後はまた自宅へ帰ることができるのか、自宅へ帰るために介護サービスや訪問看護を調整する必要があるのか、または施設を調整する必要があるのか
このような視点をもって情報を収集します。
病院には退院支援のためのスクリーニングシートなどを活用しているところもあります。
このようなシートを活用すると退院へ向けて支援が必要かどうかを見極めることができます。
退院支援が必要になると判断したときには退院調整看護師やMSW、理学療法士や栄養士などのメンバーと協力し患者さんの退院へ向けてサポートします。
呼吸器内科では呼吸不全のため在宅酸素療法を導入し自宅へ帰る患者さんが多くいます。
入院中から自宅での生活のイメージができるように家の中の構造など具体的に情報収集しましょう。
ベッドからトイレまで何メートルか、居住スペースは1階か2階か、玄関に段差はあるのか、などです。
そして家での生活をイメージしながら酸素を使用し生活しどのくらいの酸素流量が必要か、どのくらいの活動はできるかの評価をします。
酸素療法中の注意事項としては火気厳禁です。
仏壇やガスコンロには近づかない、喫煙は絶対に禁止など患者さんに合わせた指導内容も重要です。
呼吸不全の患者さんは発熱すると肺炎など重症化しやすいです。
そのため、手洗いうがいなどの感染予防行動を徹底してもらい、発熱したときにはすぐ受診するように指導します。
退院後も安心して過ごすことができるように入院中から退院へ向けて情報収集しましょう。そして患者さんの個別性に合わせた指導を行うことが大切です