看護師って、「ミスが許されない!!」「責任が重い!!」と日々感じる仕事ですよね。
「ヒヤリハット!!」「インシデント」ってよく耳にして、報告書を書かされることもありますよね。
人間は、「失敗する生き物」です。
そんな、「インシデント」について今回まとめてみました!
ミスを責めるのではなく、再発しない方法を考えることが大切なことです!!
- 看護師のインシデント①薬剤の取り違え
- 看護師のインシデント②投与量・投与速度の間違い
- 看護師のインシデント③投与時間・投与経路の間違い
- 看護師のインシデント④薬剤の重複投与
- 看護師のインシデント⑤ベッドからの転落
- 看護師のインシデント⑥歩行中の転倒
- 看護師のインシデント⑦移乗時の転倒
- 看護師のインシデント⑧チューブ・ドレーンの自己抜去
- 看護師のインシデント⑨チューブ・ドレーンの接続間違い
- 看護師のインシデント⑩チューブ・ドレーンの閉塞・詰まり
- 看護師のインシデント⑪名前の確認ミス
- 看護師のインシデント⑫検査・処置の患者間違い
- 看護師のインシデント⑬申し送りの漏れ
- 看護師のインシデント⑭指示の聞き間違い・伝え間違い
- 看護師のインシデント⑮医療機器設定ミス
- 看護師のインシデント⑯医療機器操作ミス
- 看護師のインシデント⑰医療機アラーム対応の遅れ
- 看護師のインシデント⑱食事制限の間違い
- 看護師のインシデント⑲アレルギー食材の混入
- 看護師のインシデント⑳手洗い・消毒の不徹底
- 看護師のインシデント㉑無菌操作の不備
- 看護師のインシデント㉒体位変換の遅れ
- 看護師のインシデント㉓褥瘡予防ケアの不足
- 看護師のインシデント㉔清潔ケアの不足
- 看護師のインシデント㉕記録の漏れ
- 看護師のインシデント㉖誤った情報の記載
- 看護師のインシデント㉗患者・家族への説明不足
- 看護師のインシデント㉘医療チーム内の情報共有不足
- 看護師のインシデント㉙処置・投薬の遅れ
- 看護師のインシデント㉚観察の遅れ
- まとめ
看護師のインシデント①薬剤の取り違え
例えば、「アムロジン」と「アムロジピン」のように、名前が似ている薬を間違えたり、忙しくて確認が不十分だったり、夜勤で疲れているときにおこりやすいミスです。
これを防ぐために、「3回確認!!」という基本的ルールを守るようにします。
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薬剤を棚から取り出す時に1回目の確認
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準備する時に2回目の確認
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患者さんに渡す直前に3回目の確認
また、必ず、別の看護師にもチェックしてもらう「ダブルチェック」も大切です。
特に、間違えると危険な薬(抗がん剤など)は、必ずダブルチェックします。
ミスが起きたら、すぐに上司に報告し、なぜ起きたかを振り返ります。
そして、その経験を病院全体で共有して、同じミスを繰り返さないようにします。
1つのミスが大きな事故に繋がる可能性があるので、慎重な確認が重要です。
看護師のインシデント②投与量・投与速度の間違い
主な原因として、確認不足、業務の焦り、知識不足などがあげられます。
具体的には、指示箋の確認が不十分、ダブルチェックの形骸化、多忙による焦りからの確認省略、薬剤の特性についてに知識不足などが事故につながっています。
また、深夜勤務による疲労や注意力低下も影響します。
再発防止策として
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投与前の6R(正しい患者、薬剤、投与量、投与時間、投与経路、記録)の徹底確認
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複数人での声出し確認の実施と確認手順の標準化
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輸液ポンプやシリンジポンプの設定値の再確認システムの導入
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定期的な薬剤知識の研修実施と新人教育の強化
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業務量の適正化による焦りの防止
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インシデント事例の共有による意識向上
看護師のインシデント③投与時間・投与経路の間違い
投与時間の間違いは、主に業務の多忙さによる時間管理の不徹底や、指示内容の見落としが原因です。
投与経路の間違いは、類似した経路の混同(経口・経管・静脈・動脈など)や、ラインの確認不足が主な要因となっています。
また、夜勤などの疲労時には、特にこれらのミスが起こりやすくなります。
再発防止策として
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投薬準備時の指示内容の複数回確認
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投与経路を色分けしたテープやラベルの活用
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投与直前の患者情報・投与経路の声出し確認
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タイムスケジュール表の活用による投与時間管理
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投与経路別の接続部の規格統一
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定期的な医療安全研修の実施
看護師のインシデント④薬剤の重複投与
看護師による薬剤の重複投与が発生する主な原因として次のようなものがあげられます。
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看護師間の申し送りやコミュニケーション不足
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投薬記録の確認不足や記載漏れ
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勤務交代時の情報伝達の不備
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患者の内服薬の自己管理と看護師管理の混在
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多忙による焦りや確認作業の省略
再発防止策として
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投与前の記録確認の徹底(電子カルテ、投与チェックリストの活用)
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勤務交代時の確実な申し送りと情報共有
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投薬後の速やかな記録入力の習慣化
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患者の服薬管理方法の明確化と統一(自己管理か看護師管理かの区別)
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チーム内のダブルチェック体制の強化
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定期的な事例検討会による意識向上
これらの対策を組織的に実施することで重複投与の防止につながります。
看護師のインシデント⑤ベッドからの転落
転落の主な要因として、
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患者さんの認知機能や身体機能の正確な評価不足
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せん妄やトイレ動作時の予測できない突発的な行動・ベッド柵の不適切な使用
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ナースコールの位置が患者の手の届かない場所
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夜間の照明不足による環境要因
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家族への説明不足や理解不足
再発防止策として
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転倒・転落リスクアセスメントの定期的な実施と見直し
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適切なベッド柵の使用(4点柵の検討)とベッドの高さ調整
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患者の状態に応じたセンサーマットの活用
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ナースコールの位置調整と使用方法の説明
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定期的な巡回と観察の強化
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家族への説明と協力依頼
これらの対策を確実に実施し、患者さんの安全確保に努めることが重要です。
看護師のインシデント⑥歩行中の転倒
歩行中の転倒は、医療現場で最も多いインシデントの一つです。
特に高齢者は、筋力低下や平衡感覚の衰え、薬の副作用などにより転倒のリスクが高まります。
転倒は骨折や頭部打撲などの重大な事故に繋がる可能性があり、入院期間の延長や患者のQOL低下を引き起こす恐れがあります。
予防には、患者の状態に応じた適切な歩行補助具の使用、ベッド周りの環境整備、夜間の十分な照明の確保が重要です。
また、転倒リスクの高い患者を事前に把握し、必要に応じてナースコールの使用を促すことや、定期的な見回り、家族への協力依頼も効果的な予防策となります。
看護師は常に患者さんの行動を観察し、適切な介助を行うことが求められます。
看護師のインシデント⑦移乗時の転倒
移乗時の転倒は、ベッドから車椅子、車椅子からトイレなど、場所を移動する際に発生する重大なインシデントです。
特に患者さんの身体機能や認知機能が低下している場合、リスクが高まります。
移乗時の転倒を防ぐためには、まず患者の残存機能を適切に評価することが重要です。
車椅子やベッドのブレーキ確認、移乗時の声かけ、適切な介助方法の選択(一部介助か全介助か)必要時、2人以上の介助を行うことが基本になります。
スライディングボードなどの移乗補助具の適切な使用、患者さんの靴やあ履き物の確認、移乗スペースの確保も重要です。
患者さんへの移乗動作の説明を丁寧に行い、焦らず、安全な移乗を心がけることで、事故を未然に防ぐことができます。
移乗介助は看護の基本技術の1つとして継続的な研修も必要です。
看護師のインシデント⑧チューブ・ドレーンの自己抜去
意識レベルの変動がある患者さんや不穏状態の患者さんで発生リスクが高まります。
予防には、患者さんの理解力や精神状態の適切な評価、必要に応じた抑制の実施、そして頻回な観察が重要です。
看護師のインシデント⑨チューブ・ドレーンの接続間違い
薬剤の誤投与や感染のリスクを高める重大なインシデントになります。
特に複数のラインがある患者さんでは、確認不足や急いでいる際に発生しやすくなります。
予防には、接続時のダブルチェックやラインの整理整頓、そして、確実な確認手順の実施が重要です。
看護師のインシデント⑩チューブ・ドレーンの閉塞・詰まり
血液の凝固や薬剤の結晶化、体位による屈曲などが主な原因になります。
予防には、定期的な観察、適切な固定方法の選択、そして必要に応じた適切なフラッシュの実施が重要です。
看護師のインシデント⑪名前の確認ミス
似た名前の患者さんがいる場合や慌ただしい業務中に発生しやすくなります。
予防には、フルネームでの確認、患者本人による名乗りの確認、リストバンドの確認など、複数の方法での確実な本人確認が重要です。
看護師のインシデント⑫検査・処置の患者間違い
同姓同名の患者さんがいる場合や、緊急検査、処置などの慌ただしい状況で発生リスクが高まります。
予防には、患者確認の手順遵守、複数スタッフでの確認、そして、検査・処置前の患者情報の再確認が不可欠です。
看護師のインシデント⑬申し送りの漏れ
患者の状態変化や治療内容、注意事項などの情報が次の勤務者に正確に伝わらないことで、投薬ミスや処置の遅れ、観察不足などの医療事故につながる可能性があります。
確実な情報共有のため、メモの活用やダブルチェックが重要です。
看護師のインシデント⑭指示の聞き間違い・伝え間違い
投薬量や処置方法の誤解は、患者の生命に関わる医療事故につながる可能性があります。
指示は必ずメモを取り、復唱して確認し、不明点はその場で質問することが重要です。
口頭指示は、絶対ダメで、書面に出すことが基本ですが、多忙な為、口頭支持が多いのが現状です。
看護師のインシデント⑮医療機器設定ミス
輸液ポンプや人工呼吸器などの医療機器の投与速度、投与量、アラーム設定などの誤りは重篤な状態を引き起こす可能性があります。
機器操作時は、必ずダブルチェックを行い、設定値を声に出して確認することが必要です。
看護師のインシデント⑯医療機器操作ミス
輸液ポンプの誤停止や人工呼吸器の不適切な操作、モニター機器の誤った取り扱いは、重大なインシデントになります。
機器の使用前には必ずマニュアル確認をし、不安な場合は先輩看護師に相談するようにしましょう。
看護師のインシデント⑰医療機アラーム対応の遅れ
輸液ポンプの閉塞、心電図モニターの異常、人工呼吸器の警報など、アラームは患者さんの危険な状態を知らせる重要なシグナルです。
アラーム音を確認したら直ちに患者さんの元へ駆けつけ、状態を確認することが必要です。
看護師のインシデント⑱食事制限の間違い
糖尿病食や腎臓病食の取り違え、術前絶食の指示の漏れ、アレルギー食材の提供などが、患者さんの状態悪化を招く危険性のある重大なインシデントです。
配膳前には、必ず患者名、食事内容、制限事項を確認し、ダブルチェックを行いましょう。
看護師のインシデント⑲アレルギー食材の混入
アレルギー食材の混入は、アナフィラキシーショックなど生命の危機に直結する重大なインシデントです。
食物アレルギーの情報共有不足、食事トレイの取り違え、原材料の確認不足などが原因となります。
患者さんのアレルギー情報を明確に記録し、配膳時は必ずダブルチェックを行い、少しでも疑問がある場合は提供を中止することが重要です。
看護師のインシデント⑳手洗い・消毒の不徹底
手洗いや消毒の不徹底は、院内感染を引き起こす可能性のある重大なインシデントです。
患者さんのケアや処置の前後、および医療機器の取り扱い時に適切な手指衛生が行われないと、患者間で感染を拡大させる危険があります。
感染予防の基本として、正しいタイミングと方法での手洗い・消毒の遵守が不可欠です。
看護師のインシデント㉑無菌操作の不備
点滴や採血、カテーテルの挿入などの処置時に滅菌物の取り扱いミスや清潔操作の破綻が怒ると、敗血症などの深刻な合併症を引き起こす可能性があります。
確実な無菌テクニックの習得と手順の遵守が不可欠です。
看護師のインシデント㉒体位変換の遅れ
体位変換の遅れは、寝たきりの患者さんにおいて、褥瘡の発生するリスクが高まるだけでなく、肺炎や関節拘縮などの合併症を引き起こす可能性があります。
また、夜間帯での実施の遅れが特に問題となりやすいです。
予防には
体位変換スケジュールの明確化、確実な実施記録、スタッフ間での情報共有、そして患者の状態に応じた柔軟な対応が重要です。
看護師のインシデント㉓褥瘡予防ケアの不足
長期臥床患者さんや高齢者、栄養状態の悪い患者さんでは、適切な体位変換や圧力分散、スキンケアの不足により短時間で褥瘡が発生する可能性があります。
主な原因として、体位変換の時間間隔の不適切さ、マットレスなどの予防用具の不適切な使用、皮膚の観察不足、他職種間の情報共有の不足などが挙げられます。
予防には、定期的な皮膚の観察、適切な体位変換の実施、栄養状態の管理、そして予防ケアのかくじつな記録と引き継ぎが重要です。
看護師のインシデント㉔清潔ケアの不足
清潔ケアの不足は、患者さんの尊厳を損なうだけでなく、重大な健康上の問題を引き起こす可能性のあるインシデントです。
特に寝たきりの患者さんや高齢者に、適切な清拭やおむつ交換の遅れは、褥瘡の発生や皮膚トラブル、尿路感染症などのリスクを高めます。
清潔ケアの不足の主な原因として業務の多忙さ、スタッフ間の連携不足、患者の状態把握の不十分さなどが挙げられます。
また、患者さんの羞恥心に配慮するあまり、必要なケアを躊躇してしまう場合もあります。
予防には、清潔ケアの優先順位を適切にせっていし、患者さんの状態に応じた計画的な実施と確実な引き継ぎが重要です。
看護師のインシデント㉕記録の漏れ
看護記録の漏れは、医療安全において重要なインシデントの一つです。
原因として、業務の多忙さ、確認不足、記録の後回し、記録方法の不統一などが挙げられます。
これは、事務的なミスではなく、患者の状態把握や治療方針の決定に影響を与え、最悪の場合、医療事故につながります。
適切な記録を残すために「記録はケアの一部」という意識を持ち、その場での速やかな記録を心がけることが重要です。
看護師のインシデント㉖誤った情報の記載
カルテや看護記録への誤記載、転記ミス、記入漏れなどがあります。
特に多いのは、バイタルサインの数値の誤記載、投薬量の記載ミス、患者の状態変化の記録漏れなどです。これらは、適切な治療や看護の妨げとなり、最悪の場合、重大な医療ミ事故につながる可能性があります。
防止策として、記載内容のダブルチェック体制の確立、記録時の確認手順の標準化、定期的な記録の監査、電子カルテシステムの入力ミス防止機能の活用などが重要です。
焦らず落ち着いて記録することを心がけましょう。
看護師のインシデント㉗患者・家族への説明不足
治療内容や処置、投薬、検査などについて、十分な説明がないまま実施されることで、患者さんの不安や不信感を招き、時には医療事故につながる可能性があります」。
特に問題となるのは、治療計画の変更時や新たな処置の開始時、副作用のある薬剤の投与時です。
例えば安静度の制限について十分な説明がなく、転倒事故が起きたり、薬剤の副作用について説明不足のため患者が不安を感じるといったケースがあります。
これらを防ぐためには、患者・家族の理解度に合わせた分かりやすい説明、説明内容の記録化、質問しやすい環境づくり、説明後の理解度確認が重要です。
看護師のインシデント㉘医療チーム内の情報共有不足
医療チーム内の情報共有不足は、患者さんの安全を脅かす重大なインシデントの一つです。
患者さんの投薬情報や治療方針の変更が看護師同士の間、医師、看護師間で適切に伝達されていない場合があります。
特に勤務交代時の申し送りの不備や、電子カルテの確認漏れ、口頭での伝達事項の聞き違いなどが原因となります。
例えば、前の勤務帯で中止となった薬剤が次の勤務帯で投与されたり、新たに開始された感染予防対策が全スタッフに周知されないといったことねどが挙げられます。
これらを防ぐために、標準化された申し送り手順の徹底、多職種間カンファレンスの定期開催、電子カルテの確実な記載と確認、重要事項の掲示板活用などの対策が有効です。
チーム全体で情報共有の重要性を認識し、確実な伝達方法を実践することが求められます。
看護師のインシデント㉙処置・投薬の遅れ
処置や投薬の遅れは、患者さんの症状悪化や治療効果の低下につながるインシデントです。
特に、定時薬の投与の遅れや、痛み止めなどの頓用薬の対応が遅れると患者さんの苦痛を延長させる原因となります。
このような遅れを防ぐためには、まず業務開始時に処置や投薬の指示内容を正確に理解し、必要物品や薬剤を事前に準備して効率的に業務を行うようにします。
緊急性の高い処置や投薬については、チーム内で情報共有し、多忙時にサポート体制を整えることが大切です。
発生時には、医師への報告と対応の指示確認を適切に行い、患者さんの安全を確保する必要があります。
看護師のインシデント㉚観察の遅れ
患者さんの観察の遅れは、症状の悪化や重大な合併症を見逃してしまうリスクがあるインシデントです。
特に、急性期の患者さんやオペ後の患者さんではわずかな観察の遅れが重大な結果を招く可能性があります。
観察の遅れを防ぐために、バイタルサインの測定、意識状態、疼痛の程度、創部の状態、ドレーンの廃液量など、患者さんごとの観察ポイントを把握して、適切なタイミングで実施することが必要です。
まとめ
命の隣り合わせの医療現場において、インシデントは、重大な医療ミスに繋がりやすいです。
再発防止には、ダブルチェックの徹底、患者さん確認の手順遵守、6Rの確認、ヒヤリハット報告による情報共有が重要です。
業務改善やスタッフの教育の充実も効果的な対策となります。
普段から、危機管理の意識を持って一人一人が気をつけて行くようにすることが大切です。