子宮頸がんの看護ケア12選!

子宮頸がんは子宮の入り口にできるがんで、女性に増えてきているがんの一つです。

その治療は手術、放射線、化学療法とさまざまで、ケアも多岐にわたります。

ここでは、子宮頸がんの看護ケアを、12に分けて詳しく説明します。

ぜひ、最後まで読み進めてください!

子宮頸がん 看護ケア①術後の痛みのケア

子宮頸がんの手術は、がんの広がりにもよりますが開腹手術か腹腔鏡下手術で行われることが多いです。

術当日は床上安静となりますが、術後は動かなくても痛みが強いものです。

痛みへの対応として、術後は硬膜外鎮痛法といって硬膜外腔に細いカテーテルから鎮痛剤が持続で投与されていたり、静脈投与法といって静脈ルートから持続で鎮痛剤が投与されていることがほとんどです。

また、PCAポンプといって患者さん自身が痛みを感じた時に自分で操作して鎮痛剤を追加で投与する方法もあります。

このように、術後の疼痛をあらかじめ予測してできるだけ痛みが少なくなるような方法がとられています。

痛みは患者さんにとって大きな不安となります。

術前のうちから患者さんに対して痛みが起こりうること、その対処法や持続で投与されている薬剤のこと、PCAポンプの使い方など、丁寧に説明することでその不安を少しでも軽減できるようにしましょう。

しかし、このような鎮痛剤が持続で投与されていても、痛みが強い患者さんもいらっしゃいます。

そんな時は痛みの部位や強さ、種類、持続時間などを丁寧に聞き取り、状態をアセスメントしましょう。

術後は痛みが強い場合はこの薬剤を使ってくださいという、医師からの予測指示が出ていることが多いです。

患者さんの痛みの状態に合わせてその薬剤を投与するなど、冷静な判断が求められます。

最初は患者さんの辛い状況に焦ってしまったり、何をすればよいのかわからないことがあると思います。

先輩の看護師に相談しながら、患者さんの痛みを軽減できるようにしていきましょう。

また、痛みは患者さんにとって精神的な苦痛になります。

タッチングをしたり、そばに居て寄り添うことで、その不安が和らぐこともありますよ。

痛みが楽になる体勢がとれるように介助するのもよい方法です。

術後の疼痛には上記のように様々なケアがあるので、患者さんの痛みを最小限にできるような看護を心掛けましょう!

子宮頸がん 看護ケア②術後の出血のケア

続いては、術後の出血のケアについてです。

子宮頸がんの手術後は、創部からの出血、膣断端からの出血などを予測して観察していく必要があります。

創部からの出血が見られる場合は量と時間の経過による増加がないかなど、チェックしていきましょう。

もし創部から出血がある場合は、マーキングするなどして記録に残しましょう。

膣断端からの出血をみるため、性器出血の有無も観察していく必要があります。

どちらも少量の出血であれば問題ないことが多いですが、状態に応じて医師へ報告することになります。

最初のうちはどのくらいの量が異常なのか判断するのは難しいと思います。

私も新人の頃は先輩と一緒に術後の観察を行いながら、経験を積んでいきました。

出血のケアを行ううえで、バイタルサインの測定や心電図波形の観察も重要です。

目に見える出血がある場合はもちろんですが、明らかな出血が見られない場合でも血圧低下や脈拍増加、心電図波形異常がみられる時は大量出血の可能性があります。

気づいたことは先輩に細かく報告しながら、ぜひアセスメント力を鍛えていきましょう!

子宮頸がん 看護ケア③術後の感染予防のケア

続いては、術後の感染予防のケアについてです。

術後は感染リスクが高く、創部、膣断端、ドレーン、膀胱留置カテーテルなど、様々なものが因子としてあげられます。

発熱などがみられないか、注意深く観察をしていきましょう。

創部感染については術後数日で起こることが多いです。

発赤、腫脹、熱感、疼痛など、感染兆候がないか観察をしていきましょう。

患者さんにも術前のうちから感染リスクについて説明を行い、早期離床を促したり創部の清潔保つような指導が必要となります。

術後感染があると、患者さんの身体的な苦痛に加えて不安も強くなります。

感染やその治療に関する説明を丁寧に行い、不安を軽減できるように努めましょう。

感染は、高齢者や低栄養、糖尿病がある人などはリスクが高くなります。

患者さんの既往歴や状態をしっかりと把握しておくと、個別性のある関わりができるようになります。

経験が浅いうちは自分の観察やアセスメントに自信が持てないこともあると思います。

少しでもおかしいな?と感じたら、先輩の看護師や医師に報告しましょう。

医師の診察時に看護師が介助で入ることも多いので、一緒に観察を行うことでとても勉強になりますよ。

子宮頸がん 看護ケア④術後のリンパ浮腫のケア

続いては、術後のリンパ浮腫のケアについてです。

子宮頸がんの手術では、がんの広がりによって近くのリンパ節を切除する場合があります。

リンパ節を切除するとリンパ液の流れが悪くなるため、リンパ浮腫が起こることがあります。

子宮頸がんの術後は、鼠径部から下肢にかけての浮腫みが起こりやすいです。

術直後に発症することもあれば、術後から時間が経過してから起こることもあります。

リンパ浮腫が起こると、浮腫んでいる部位の重だるさや動かしづらさが生じるなど、日常生活にも支障が出ることがあります。

患者さんの浮腫の有無や皮膚状態をしっかりと観察し、リンパ浮腫が起こっていないかチェックしていきましょう。

残念ながら、リンパ浮腫は発症すると完治することは難しいです。

そうなると、どんな方向性でケアをしていけばよいか迷ってしまいますよね。

症状をどう軽減して日常生活の影響を最小限にしていくかや、感染予防がとても重要になってきます。

具体的な看護ケアとしては、リンパマッサージや弾性ストッキング等の指導、スキンケアと感染予防行動の指導などがあります。

患者さんの生活や困っていることなどを丁寧に聞き取り、患者さんがリンパ浮腫の症状と上手く付き合いながら日常生活を送ることができるよう、支援していきましょう。

子宮頸がん 看護ケア⑤放射線治療中の皮膚炎のケア

続いては、放射線治療中の皮膚炎のケアについてです。

子宮頸がんにおける放射線療法では、骨盤部に向けて外照射を行います。

放射線は皮膚を通過して病巣に到達するため、皮膚に影響が出てしまうことがあります。

このように、照射された皮膚に日焼けのような変化が起こることを放射線皮膚炎といいます。

放射線治療は数週間ほどかかることが多いです。

患者さんの皮膚状態を日々観察することが重要になってきます。

皮膚状態が変化している場合はしっかりと医師に報告しましょう。

照射した皮膚は非常にデリケートになっています。

衣服は締め付けのない優しいものを着用し、皮膚を強くこすったり引っかいたりしないように注意が必要です。

また、シャワーや入浴の温度は熱すぎないようにし、優しく泡を立てて体を洗うようにしましょう。

患者さんは皮膚の変化を不安に思われる方もいらっしゃいます。

放射線治療前に上記のような皮膚の変化が起こりうることを伝え、ケア方法についてもあらかじめ指導しておくことが大切です。

子宮頸がん 看護ケア⑥放射線治療中の下痢のケア

続いては、放射線治療中の下痢のケアについてです。

放射線はもちろんがん細胞へ向けて照射するのですが、どうしても正常な細胞に影響が出てしまうことがあります。

子宮頸がんの場合は骨盤内への照射をしますが、その際に腸の粘膜が傷ついてしまうために下痢の副作用が起こることがあります。

下痢の副作用は放射線治療を初めて2週間後以降から起こり始めることが多いです。

下痢症状は看護師として働いていると比較的みることが多い症状だと思います。

放射線治療中の患者さんが下痢をしていた場合、まずは照射してからの期間を把握し、下痢の原因が放射線治療によるものなのか、それ以外の原因があるのかをしっかりとアセスメントしましょう。

また、下痢の回数や性状、血便の有無、腹痛や肛門痛、腸蠕動音などを観察することが重要です。

医師へ報告すると、下痢止めや整腸剤などが処方されることが多いです。

腹痛が辛いときは、温罨法を行うのもおすすめです。

また、下痢が続くと体内の水分や電解質が失われて脱水になりやすいです。

患者さんにはこまめな水分摂取をすすめましょう。

冷たすぎる、熱すぎる飲み物は腸の運動を活発にしてしまうため、常温程度がよいでしょう。

下痢は患者さんにとって大きな苦痛となるので、早めの対処を心掛けましょう!

子宮頸がん 看護ケア⑦放射線治療中の膀胱炎のケア

続いては、膀胱炎のケアについてです。

子宮頸がんの放射線治療は骨盤内へ照射するため、膀胱周囲にも影響が出る場合があります。

具体的な症状としては排尿時痛、頻尿、血尿などです。

放射線治療中の患者さんに対しては、このような症状がないかどうか排尿状態もしっかりと観察していきましょう。

患者さんの状態をタイムリーに医師に報告し、早めの対処ができるように連携していくことが重要です。

また、膀胱炎の予防としては水分をしっかりと摂取し排尿量を確保すること、陰部を清潔に保つことが大切です。

下痢や食欲不振などの副作用症状を併発している場合も多いので、水分をこまめに摂取することが難しい患者さんもいらっしゃいます。

患者さんの症状や生活に合わせて具体的な水分摂取の方法を提案できると良いですね。

子宮頸がん 看護ケア⑧化学療法中の悪心・嘔吐のケア

続いては、化学療法中の悪心・嘔吐のケアについてです。

子宮頸がんの治療では化学療法を行うことも多いです。

化学療法は不安に思う患者さんが多く、看護師としてもどんなケアをしてよいのか戸惑いますよね。

現在の化学療法では、予防的に吐き気止めを投与したり、患者さんの副作用症状に合わせて治療スケジュールや量を調整しています。

治療前に治療のスケジュールや起こりうる副作用症状、その対処法などを丁寧に説明しておくと、患者さんも少し心の準備ができていたようでした。

実際に悪心や嘔吐があった場合は、追加の吐き気止めを使用できる場合が多いです。

入院中であれば医師の指示通りの薬剤を投与しましょう。

外来治療の場合はあらかじめ吐き気止めが処方されることもあるので、症状を医師に伝えるようにします。

吐き気止めの薬を使用する以外にも、悪心や嘔吐に効果的なケアがいくつかあります。

食事面では、患者さんの食べられるものを少量ずつ摂取するように勧めています。

嘔吐まではいかなくても、何となく食欲がわかない・・といった患者さんがよくいらっしゃいました。

そんな患者さんでも、果物やゼリー、ヨーグルト、ジュースなどさっぱりしたものなら食べられることが多かったです。

また、食事が終わってすぐに横にならずに2時間ほどは上半身を起こした状態でいるとよいでしょう。

衣服も胃部が圧迫されないゆったりとしたものを着用するようお伝えしていました。

胃部のクーリングをすることで、胃の血流が減少し嘔気が軽減することがあるので、患者さんの好みに合わせて提案してみるのも有効です。

このように様々な看護ケアがありますが、患者さんの不安など精神的な要因によっても悪心や嘔吐が起こることがあります。

患者さんの気持ちを傾聴し、不安に寄り添った看護を心掛けましょう。

子宮頸がん 看護ケア⑨化学療法中の白血球減少のケア

続いては、白血球減少のケアについてです。

化学療法によって造血作用がある骨髄にも影響が出てしまいます。

そのため、骨髄がうまく血液を作ることができなくなり血球減少が起こります。

化学療法から約1-2週間ほどで最も低値となります。

血球の中でも白血球が減少すると、易感染状態となります。

血球減少は目には見えず、よっぽど数値が低くならないと自覚症状として現れないことが多いので患者さんも実感がわかない方が多かったです。

自覚症状がなくても、白血球の減少は重篤な感染に繋がることがあるため注意が必要です。

場合によっては無菌室での管理が必要なときもあります。

日々の看護では、検査データやバイタルサインに加え、排尿や排便状態、点滴刺入部など全身に起こりうる感染を予測した観察が大切です。

また、患者さんへの感染予防もあらかじめ行っておきましょう。

手洗いやうがい、マスクの着用といった一般的な感染予防行動に加え、口腔ケアや身体の保清を促しましょう。

感染における自覚症状がある場合は、早めに医師や看護師に伝えてもらうようにして、患者さんとともに感染予防ができるように支援していくことが重要です。

感染時の看護としては、すみやかな対応が求められます。

発熱や感染が疑われる症状がある際はすぐに医師に報告します。

また、施設によってはあらかじめ発熱時の血液培養検査などの予測指示が出ていることがあります。

最初のうちは難しいと感じることが多いかもしれませんが、出ている指示を見落とさないようにしっかりと情報収集をしていればスムーズに対応できるので大丈夫ですよ。

子宮頸がん 看護ケア⑩化学療法中の口内炎のケア

続いては、口内炎のケアについてです。

抗がん剤治療を行っていると、口内炎が生じることがあります。

要因としては、抗がん剤が口の中の粘膜に直接影響してしまうこと、免疫抑制による二次感染などがあげられます。

日頃からの口腔ケアがとても重要になってきます。

患者さんにはしっかりと口腔ケアの指導を行いましょう。

口内炎が生じた場合は医師に報告し、軟膏やうがい薬を処方してもらうこともあります。

また、口腔内の状況に合わせて歯科医師や歯科衛生士などと連携していくことも大切ですね。

口内炎ができると、抗がん剤の副作用症状による吐き気なども合わさって更に食事や水分摂取ができなくなることがあります。

食事は酸味や辛味などの刺激が少ないものにしたり、熱すぎたり冷たすぎるものは控える、硬いものは避けて滑らかな舌触りのものにするなどの工夫をするとよいです。

脱水にならないように、こまめな水分摂取をすすめましょう。

ヨーグルトやゼリーなどさっぱりしたもの、簡単につぶせるような柔らかいものなどもよいでしょう。

入院中であれば患者さん本人と相談しながら食事内容を変更するなどして、摂取量を確保できるように支援します。

外来治療中であれば、上記の内容を家族にも伝えて家での食事を工夫してもらいましょう。

歯科医や歯科衛生士、栄養士など多職種と連携してケアにあたりましょう!

子宮頸がん 看護ケア⑪心理的なケア

続いては、心理的なケアについてです。

子宮頸がんの治療中の患者さんは副作用症状などの身体的な苦痛だけでなく、心理面での辛さも抱えています。

がんと診断された時から衝撃は大きく、不安を抱えながら治療をしている方が多くいらっしゃいます。

私も患者さんの治療方針に関するインフォームドコンセントに何度も同席していましたが、やはり「抗がん剤」「放射線療法」「手術」という言葉にとても怖さを感じている患者さんが多かったです。

現在は昔と比べて副作用症状が抑えられていたり、症状を軽くする薬を上手く使って治療を行っている患者さんがたくさんいらっしゃいます。

治療の前には、治療のスケジュールや起こりうる副作用症状、対処法などを丁寧に説明していくことが重要です。

治療に関する正しい知識を伝えることで、患者さんの漠然とした不安が和らぎますよ。

患者さんの気持ちに寄り添いながら、前向きに治療に取り組めるようなケアをしていきましょう。

子宮頸がん 看護ケア⑫性生活のケア

最後に、性生活のケアについてです。

子宮頸がんの術後であっても、性生活を行うことは可能です。

しかし、術後早期は感染のリスクがあったり、出血しやすいことがあるので注意が必要です。

化学療法中は血球減少によって感染のリスクが高まるので、時期によっては性生活を控える必要があります。

治療内容や状態によって性生活の状況は変わってくるので、医師に確認するようにしましょう。

また、性交時の膣の分泌液が減少し乾燥しやすくなることがあります。

乾燥が強いと性交時に痛みを伴うので、その際は市販の潤滑ゼリーを使用するなどの工夫をするとよいでしょう。

性生活については患者さん本人だけでなく、パートナーの理解も重要です。

状況に応じてパートナーも説明の場に同席してもらうなど、患者さんや医師と相談して検討できるとよいですね。

性生活については非常にデリケートな内容であり、患者さんも医師に聞きにくく悩んでいることがあります。

患者さんが一人で抱え込まないよう、看護師として支援できるといいですね。

タイトルとURLをコピーしました