新人看護師の教育は、新人看護師はもちろんですが指導する立場の看護師の苦労や悩みも大きいですよね。
新人教育を任せられて不安を感じている看護師の方も多いと思います。
ここでは、新人看護師の新人教育で大切なことをまとめました。
ぜひ最後までご覧くださいね。
新人看護師の新人教育で大切なこと①定期的な振り返りとフォロー
新人看護師教育でまず重要なことは、振り返りの場面を設けることです。
1ヶ月目、3ヶ月目、6ヶ月目など、定期的に振り返りを行います。
これにより、タイムリーに新人看護師の成長を確認することができます。
また、新人看護師と一緒に課題を見つけて共有するとともに、必要なサポートを考えて提供できるようにします。
指導にあたる看護師は客観的な視点をもって新人看護師の状況を評価していく必要があります。
新人看護師の皆さんもこのように先輩看護師がついてくれるのは心強いですね。
定期的に面談を行うことで、目標設定も短いスパンで行えるのでわかりやすいです。
新人看護師とゆっくり時間をとって向き合うことで、信頼関係も構築していくことができます。
評価や目標設定だけでなく、新人看護師の気持ちに寄り添えるような関わりを心がけられるとよいですね。
新人看護師の新人教育で大切なこと②段階的な学習と実践
続いては、段階的な学習と実践についてです。
新人看護師の教育は、座学と実践を組み合わせた段階的なアプローチが効果的と言われています。
初めのうちは座学を中心とした集合教育をしっかりと受けます。
ここで学生時代や国家試験で学んだことをもとに、さらに職場での実践に繋がるような知識を身に着けていきます。
臨床現場で働くうえでの根拠となる知識を座学でしっかりと学ぶことは非常に重要ですね。
その後OJT(On-the-Job Training)へと移行します。
新人看護師の方は臨床現場での看護実践にどうしてもつまづいてしまうことが多いので、現場の先輩看護師はそれまでの経験をもとにフォローしていきましょう。
段階的に目標設定を行い、看護師として少しずつできることを増やしていけるように支援していけるとよいですね。
厚生労働省の新人看護師研修ガイドラインをもとに、各病院で新人看護師の教育計画が立てられています。
新人看護師の不安にも寄り添いながら、そのやりがいを刺激して楽しさに繋げられるといいですね。
新人看護師の新人教育で大切なこと③多様な経験の提供
続いては、多様な経験の提供についてです。
入職した病院によっては、ローテーション研修を設けているところがあります。
ローテーション研修とは、配属された部署以外の複数の診療科をまわって様々な経験をする研修です。
新人看護師として配属された部署によって、どうしても経験できる技術には偏りがあります。
ローテーション研修を導入することによって、配属された部署では経験することのできない技術の実践ができたり、様々な状況の患者さんに関わることができます。
異なる部署での経験を通じて、病院全体の機能や各部署の役割を理解することができます。
また、病院内には複数の診療科に加え、様々な職種の方が働いています。
それぞれの役割を理解することで、総合的なチーム医療の実践につながります。
ローテーション研修から帰ってきた新人看護師の皆さんは、多くの経験を積んできっと視野が広がっていることでしょう。
どんなことを学んできたのか、何を感じたのか、ぜひ時間をとって話を聞いてみてください。
新人看護師の学びを引き出し、その経験を配属部署で活かすことができるように支援していくことが重要です。
新人看護師の新人教育で大切なこと④同期との絆づくり
続いては、同期との絆づくりについてです。
新人看護師には非常に多くの研修や学びの場があって、それを教育担当の看護師やプリセプターが手厚く支援しています。
知識や技術面の支援だけでなく精神面のフォローも行っていますが、どうしても先輩看護師に相談しづらいことや素直な気持ちがあります。
新しい環境でそれぞれ頑張っている同期の存在は、新人看護師にとって非常に大きな存在です。
同期同士でしかわからない様々な感情や悩みがありますよね。
看護師として成長したいという意欲にも繋がりますし、わからないところや伸ばしたい知識・技術を一緒に学習することができます。
このように、新人看護師同士の絆を深める機会を設けることは精神的サポートと学習の両面で重要です。
定期的な集合研修や情報交換の場を提供することで、互いに助け合える関係性を構築できます。
多くの病院では新人看護師を対象に、年に数回のリフレッシュ研修を行っています。
グループワークで日頃の不安や悩みを共有したり、病院によってはスポーツや院外を離れて楽しむところもあるようです。
新人看護師同士の絆が深められるような配慮を忘れずに行っていきましょう。
新人看護師の新人教育で大切なこと⑤個別のニーズへの対応
続いては、個別のニーズへの対応についてです。
新人看護師は年間を通した教育計画が組まれていますが、スケジュール通りにいかないこともたくさんあります。
一人ひとりの成長のペースはさまざまです。
たとえば、受け持ち患者の人数を増やしたくても1人の患者を担当することで精いっぱいだったり、夜勤業務の目標開始時期になっても日勤業務のひとり立ちができないために夜勤に入れなかったり・・。
計画に沿ったペースで進まなかったり、同期と比べてスピードが違ったりすることに辛さを感じていることがよくあります。
まずはこの新人看護師の気持ちに寄り添った支援を行っていきましょう。
例えば、夜勤開始時期を個人の準備状況に合わせて調整するなど、柔軟な対応が求められます。
得意不得意があるのは当たり前で、成長のスピードも人それぞれです。
一人ひとりに寄り添い、個別のニーズに合わせた対応をしていきましょう。
新人看護師の新人教育で大切なこと⑥リラックスした学習環境の提供
続いては、リラックスした学習環境の提供についてです。
新人看護師のみなさんは、毎日が緊張の連続です。
慣れない環境、人間関係の中で日々新しいことを学びながら頑張っています。
極度の緊張状態が続くと体調を崩してしまうことがありますし、学習も効率的に行うことができません。
これにより、スタッフ間のつながりが強化され、日常の業務でのコミュニケーションや連携がスムーズになります。
新人看護師が困ったことや相談したいことがあったとき、自分から話しかけることができないような環境では、医療事故が起こりやすいです。
新人看護師の成長のスピードにも影響してしまいます。
ぎすぎすとした人間関係だと、先輩看護師も働きづらいですよね。
職場の中で新人看護師が質問や意見を言いやすいように配慮したり、先輩側が積極的に話しかけたりできるとよいでしょう。
また、新人看護師同士でコミュニケーションがとれる場を提供するのも大切ですね。
新人看護師がのびのびとリラックスして学習できるように、環境を整えていきましょう。
技術的なスキルだけでなく、社会人としての態度や専門職としての倫理観も含めた総合的な成長を支援することが重要です。
新人看護師の新人教育で大切なこと⑦問題解決能力の育成
続いては、問題解決能力の育成についてです。
患者さんの状態は常に変化するため、看護師は臨機応変な対応が求められます。
そのときどきに合わせて、状況に合った適切な判断と行動ができるようにします。
新人看護師の皆さんも学生時代にたくさんの勉強をして知識や技術を身に着けて入職しますが、問題解決能力は臨床実践で鍛えられていきます。
実際の患者さんを目の前にすると、座学で勉強したこと以外の状況に見舞われることが多くあります。
最初のうちは何をすればよいかわからず、パニックになることも多いでしょう。
新人看護師の多くが直面する悩みです。
その日のうちに振り返りを行って、状況を冷静に整理してどのような対応が必要だったかを一緒に考えていけるとよいでしょう。
うまく対応ができなかった場合は、原因を分析して解決策を検討していきます。
新人看護師が問題解決能力を身に着けていくには、どうしても時間がかかってしまいます。
それでも日々の業務の中で様々なケースを経験していくことで、問題解決能力は確実に上がっていきます。
長期的な成長を見据えながら、丁寧な支援を行っていきましょう。
新人看護師の新人教育で大切なこと⑧ プロ意識の醸成
続いては、プロ意識の醸成についてです。
ほかの職種でも同じようなことを言われることがありますが、新人看護師の皆さんは社会人1年目の方が多いです。
入職してすぐにプロ意識をもつことは、簡単なことではありません。
ましてや看護師は患者さんの命を預かる職業です。
その責任感は重大ですよね。
看護師が必要な倫理観としては、患者さんの権利を尊重し、プライバシーを守り、倫理的な看護を提供することです。
言葉ではわかっていても、新人看護師の皆さんが業務の中で実際に意識して行動することは難しいと思います。
自信が無くて「わからないから」「まだ1年目だし・・」という意識で働いてしまう新人看護師の方もいます。
少しずつ自信がもててくると、行動も変わってきます。
患者さんから感謝されたり、先輩看護師から褒められたり認められたりすることで、さらに自信がついてくるでしょう。
看護師は常に新しい知識や技術を積極的に学び、成長し続ける姿勢が求められます。
また、チームの一員としての自覚をもって協力し合い、目標達成を目指していくことが大切です。
看護師としてのプロ意識をもって仕事に励むことができるように、サポートしていきましょう。
新人看護師の新人教育で大切なこと⑨精神的なサポート
続いては、精神的なサポートについてです。
新人看護師の離職率は高い現状にあり、ストレスも非常に大きいと言われています。
ただでさえ新しい環境に適応していくのが大変なのに、患者さんの命を預かるという非常に責任を伴う仕事なのでなおさらですよね。
看護師に求められる業務が多種多様化していく中で、新人看護師も入職してすぐに高い臨床実践能力が求められます。
多くの病院では、プリセプター制度といって先輩看護師が新人看護師の指導者となり、マンツーマンで悩みや不安を聞いてサポートする制度があります。
プリセプターはベテランよりはもう少し新人看護師に近い看護師が担当することが多いです。
年齢や経験が近い方が、新人看護師も話しやすいですよね。
また、新人看護師自身もストレスマネジメントについての研修を受けます。
看護の仕事はストレスが大きい仕事の一つです。
ストレスを軽減し、心身ともに健康を保つための方法を学ぶことで仕事と上手に付き合っていくことができます。
プリセプターだけでなく、部署や院内全体で新人看護師を支援していく雰囲気作りも重要ですね。
新人看護師の新人教育で大切なこと⑩基礎知識・技術の習得
続いては、基礎知識・技術の習得についてです。
看護師として働いていくためには、解剖生理学、病理学、薬理学など、看護の基礎となる知識の習得が必要不可欠です。
これらの知識は患者さんの状態を理解し、適切な看護を提供するための基盤となります。
看護学生時代に基本的な内容は学んで国家試験には合格していますが、臨床現場の実際とその知識を結び付けていくのは簡単なことではありません。
また、配属された部署によってさまざまな勉強が必要になってきます。
1日の業務の振り返りのときに、受け持ち患者さんの状況を整理しながらこれらの知識を習得できているかを確認していくとよいでしょう。
これらの知識の習得に加え、基本的な看護技術の習得も重要です。
採血、点滴、褥瘡ケアなど、患者さんに直接関わる技術を習得します。
新人看護師研修においても学ぶ機会がありますが、病棟でもたくさん経験する機会を作って習得に向けた支援を行います。
ほかにも、心電図、人工呼吸器などの医療機器についても知識や技術が必要になってきます。
実際にベッドサイドで使用する前に、これらの医療機器にふれる機会を作って苦手意識を少なくできるような工夫が大切ですね。
新人看護師は覚えることが多いので、先輩看護師はさまざまな経験ができるようにサポートをしていきましょう。
新人看護師の新人教育で大切なこと⑪看護技術を支える要素の育成
最後に、看護技術を支える要素の育成についてです。
新人看護師は大変多くの看護技術を学び習得していく必要があります。
しかし、看護師として働いていくには看護技術をこなすだけではいけませんよね。
知識や技術を習得していくことと同時に、「看護技術を支える要素」の育成が重要です。
コミュニケーションは、患者さんや家族とはもちろん、看護師や多職種を含めたチームなどさまざまな方面で必要となってきます。
新人看護師研修でも「コミュニケーション研修」があります。
研修で学んだコミュニケーション能力を臨床現場で活かすことができるように、先輩看護師は支援していきましょう。
また、看護師の倫理観や専門職としての態度についても新人看護師研修で学びます。
しかし、座学で学んだ内容を実際の患者さんを相手に実践することは簡単なことではありません。
これらは臨床実践を重ねていくなかで身に着けていくことが多いですし、新人看護師一人では気づくことができないこともあります。
日々の振り返りの中で新人看護師の言動と倫理観や専門職としての態度を照らし合わせながら、必要な指導と支援を行っていけるとよいですね。
新人看護師の皆さんはこうした経験を積んでいくことで必ず成長していくので、先輩看護師も長期的な視野をもって支援していきましょう。